成年後見の居住用不動産処分許可で、家庭裁判所は査定書のどこを見ているか

query_builder 2026/08/21
後見人

被後見人(判断能力が十分でない方)の自宅を売却するには、家庭裁判所の許可が必要です。申立ての案内には「不動産業者の査定書を添付してください」とだけ記載されていることが多く、何をどこまで書けば足りるのか、手が止まる後見人の方は少なくありません。

本稿では査定書という一点に絞り、家庭裁判所が実質的に確認していること、そして「通る査定書」がどこで分かれるのかを、当社がこれまで関与してきた後見案件をもとに整理します。

居住用不動産の処分には、家庭裁判所の許可が必要

成年後見人が被後見人の居住用不動産を売却・賃貸・抵当権設定などする場合、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。許可を得ずに行った処分は無効とされ、後から取り返しがつきません。

なお「居住用」かどうかは、現に住んでいるかどうかだけで決まりません。施設に入所していても、過去の生活の本拠であった、あるいは将来帰る可能性が残っている住まいは居住用と扱われるのが一般的です。判断に迷う場合は、許可を取っておく——これが実務上の安全側の選択になります。

添付書類のなかで、査定書だけ「様式が決まっていない」

申立てに必要な書類の多くは、様式や記載事項が決まっています。登記事項証明書、固定資産評価証明書、居住用不動産の写真、売買契約書の案——いずれも「何を出せばよいか」が明確です。

ところが査定書だけは違います。A4一枚の簡易査定で済ませる会社もあれば、数十ページの報告書を作る会社もある。添付書類のなかで唯一、後見人の準備の質がそのまま表れる書類が査定書です。

家庭裁判所が実質的に確認している3点

書式が決まっていない以上、逆算して考える必要があります。家庭裁判所が査定書を通じて確かめたいのは、おおむね次の3点に整理できます。

1. その価格が、本人の不利益になっていないか
後見制度の目的は本人の財産を守ることです。相場から不自然に低い価格でないか、が出発点になります。

2. その価格の根拠を、第三者が検証できるか
金額そのものより、なぜその金額なのかが書かれているか。どの取引事例を採用し、どの点をどう補正したのか。ここが空欄の査定書は、額面が妥当であっても説明力を持ちません。

3. 売却の必要性と、金額が釣り合っているか
施設入居費用や医療費など、売却の必要性と手取り額が結びついて説明できるかどうかです。

この3点に共通しているのは、「後から問われたときに答えられるか」という一点です。

当社が査定価格を「レンジ」で示す理由

当社の査定書は、価格を一点の数字ではなく下限と上限のレンジで提示します。基準は次のとおりです。

  • 下限=不動産会社による買取価格(確実に、今日売れる価格)
  • 上限=想定成約価格の1割増し程度(市場で強気に売り出した場合の到達点)

一点の数字は、外れたときに説明できません。レンジで示しておけば、実際の成約価格がその幅のなかに収まったことをもって、後見人が「相当な価格で売却した」と説明できる状態が作れます。

さらに重要なのは、その幅の意味を言葉で書いておくことです。「なぜ下限がこの額なのか」「上限に届くとすればどんな買主か」。査定価格に対する根拠の言語化こそが、査定書の中身だと考えています。

透明性と競争原理が、先生ご自身を守る

査定の次に問われるのは、売却プロセスです。特定の一社に相対で売るのではなく、複数の買主候補を競わせる。その経過を記録に残す。

透明性が担保され、競争原理が働いていれば、後日、ご親族や後任の後見人から価格の妥当性を問われても、根拠を示して答えられます。先生が本当に避けたいのは、安く売ることそのものよりも、後から説明を求められて答えられない状況ではないでしょうか。当社の査定書が標準23ページになるのは、そのための材料をあらかじめ揃えているからです。

査定書の作成だけのご依頼も承ります

売却をご依頼いただかなくても構いません。「まず許可申立てに添える査定書だけが必要」という段階でお声がけください。作成のみのご依頼も承っております。

なお、査定書の作成は、将来的に売却の可能性がある不動産を対象としております。

ご相談から許可取得までの流れ

  1. お電話・メールでご相談(物件所在地と概要をお知らせください)
  2. 現地調査・資料調査
  3. 査定書のご提出(標準23ページ/レンジ提示)
  4. 家庭裁判所への許可申立て(先生ご担当)
  5. 許可取得後、売却活動・成約

当社は成約まで報酬をいただきません。仲介・買取の双方に対応し、250件を超える実績のすべてを代表が直接担当しています。

成年後見の不動産売却でお困りの先生は、まずは案件の概要だけでもお聞かせください。査定書のサンプルもご覧いただけます。

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