【インボイス制度について思うところ】

query_builder 2025/01/13
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インボイス制度は、不動産取引では数百万円単位の負担増が発生するケースがあります。特に高額取引が多い不動産業界では、仕入れ税額控除の有無が経営に大きな影響を及ぼします。


経過措置期間のうちに適切な対策を講じ、長期的な税負担を見据えた経営計画を立てることが重要です。事業者だけでなく消費者にとっても重要であり、実質的な増税となる場合があります。

本ブログでは、制度の要点を分かりやすくまとめていますので、ぜひ参考にご覧ください。



2023年10月に導入されたインボイス制度は、現在経過措置期間中です。この制度は不動産業界にも大きな影響を与えており、特に高額な物件取引や仕入れにおいて慎重な対応が求められています。



今回は、制度の仕組みや具体例を交えながら、今後の対応策について整理してみました。



【インボイス制度の経過措置とは?】


インボイス制度では、適格請求書発行事業者からの請求書がなければ仕入れ税額控除が認められません。

しかし、2023年10月1日から2029年9月30日までの6年間は、段階的な経過措置が設けられています。


2023年10月1日~2026年9月30日(初めの3年間) 仕入れ税額控除の80%を認める

2026年10月1日~2029年9月30日(次の3年間) 仕入れ税額控除の50%を認める

2029年10月1日以降 仕入れ税額控除は0%(非適格業者のインボイスは完全に対象外)



具体例:経過措置適用時の負担額 例:500万円のリフォーム工事(税抜) 消費税額:50万円経過措置期間中の控除率(2023年~2026年:80%) → 50万円 × 80% = 40万円を控除実際の負担額:10万円経過措置が適用されることで、初めの3年間は仕入れ税額控除が一定割合認められています。



しかし、この控除割合は3年ごとに減少し、最終的には全額負担となります。



【不動産取引における影響と課題】


1. タワーマンションの購入時の消費税負担 特にタワーマンションなど高額不動産の取引では、建物部分にかかる消費税額が非常に高額です。


例:5,000万円のマンション購入 土地部分(非課税):2,000万円建物部分(課税対象):3,000万円消費税(10%):300万円適格業者のインボイスがあれば、この300万円は控除可能ですが、非適格業者からの購入の場合は経過措置期間中でも一部負担が必要です。

さらに、2029年以降はこの300万円を全額負担しなければならず、負担増加は避けられません。


2. 不動産仕入れにおける実質増税 不動産業者が物件を仕入れる際、建物部分にかかる消費税は仕入れコストに直結します。


例:賃貸用物件の購入 仕入れ価格:1億円(うち建物部分が7,000万円)消費税(10%):700万円2023年~2026年:控除額 → 700万円 × 80% = 560万円が控除 → 実際の負担額:140万円


しかし、2026年以降は控除率が50%、2029年以降は控除ゼロになるため、取引コストは大幅に増加します。


※宅地建物取引業法に関連する仕入税額控除には、ちょっとした「例外規定」があります。 例えば、宅地建物取引業者が、適格請求書発行事業者ではない方から建物を購入した場合についてです。この場合でも、購入した建物が「販売用」、つまり事業として販売するための建物であれば、仕入税額控除が認められるんです。 ただし注意したいのは、「オーナーチェンジ」など、建物を保有することを目的とした場合です。この場合は、税額控除が認められません。 言い換えれば、「販売用ならOK、保有目的ならNG」ということになります。シンプルですが、大事なポイントですね!



【今後の見通しと対応策】

取引先の見直しと適格業者の選定 適格業者かどうかを確認し、仕入れ税額控除を適用できるような取引を優先する必要があります。


【仕入れ計画と費用試算の強化】

特に建物部分の課税対象額を見極め、仕入れ時点で発生する税額を正確に把握し、経営戦略に反映させることが重要です。


【長期契約の再検討】

リフォーム業者や管理会社など、長期契約を結んでいる業者との契約条件を見直し、適格業者との契約を積極的に検討する必要があります。


【まとめ】

インボイス制度は、経過措置期間中の控除率が少しずつ下がっていくことで、「じわじわ効いてくるな…」と感じています。特に控除がゼロになる2029年以降の影響は本当に大きいです。

 当社は積極的に物件の仕入れを行っていますが、やはり買取価格の提示にも影響が出てきます。


インボイス制度は多くの例外規定があり、複雑です。確かにリスクがありますが、その一方で経営を見直す良いきっかけにもなるのかなと思っています。これからも制度の動きを見極めながら、柔軟に対応していきますので、皆さんもぜひ制度のポイントを押さえて、判断材料にしてもらえたら幸いです。




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