建物滅失登記とは?自分で解体した不動産の手続きと流れについて

query_builder 2022/10/31
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解体



~~数ある不動産登記の1つである建物滅失登記。~~




建物滅失登記とは、建物を解体した場合に建物が無いことを記す登記となります。



本記事では、自分で不動産の建物滅失登記を申請することに焦点を当てた記事構成としており、期日や必要書類に加え、イレギュラーケースの対応も解説しています。


古くなった空き家を有効活用できずにいると、空き家自体の劣化が進み、維持管理するコストや労力も嵩んできます。


身近な例では、相続によって両親が住んでいた家が、今は誰も住まず空き家化してしまった場合でしょう。


家の実務的な管理の他にも、手続き上放置状態の事例が下記のような場合です。


「相続した土地の登記を確認すると、かつて建っていた家屋がまだ現存状態になっており、いつ取り壊したのかを確実に示す書類がないため、どう処理したら良いのか分からない」など、本来手続きが必要にも関わらずしばらく放置していた事例は、上記のような相続関係によくある話です。



不動産を所有していると、固定資産税や都市計画税の納税義務が発生し、建物を取り壊したことを申請しない場合、本来課税対象とならない、現存しない建物にも納税しなければいけません。


そこで、建物を取り壊した際には、建物滅失登記の申請が必要になります。


建物滅失登記は自分でも申請のできる比較的難易度の低い手続きになりますが、これから解説する手続き方法をよく理解し、進めていきましょう。



1.建物滅失登記とは、建物がなくなったことを記録すること


建物滅失登記とは、「建物がなくなったことを記録する登記」になります。


解体によって更地にした場合はもちろんのこと、自然災害、火災などによって建物が無くなる場合も然りです。


不動産を所有すると、建物の構造や誰がいつ所有したのかなどを第三者が確認できるよう記録しておかなければいけません。


これを不動産登記といい、建物の構造や広さなどを記録する表題部と所有権や抵当権が記載されている権利部の2つに分かれています。


そのため、建物が消失している旨が第三者に分かるよう示す必要性があり、その手続きが建物滅失登記になるのです。



2.建物滅失登記の手続きは土地家屋調査士と自分で行う方法がある


建物滅失登記の申請は、所有権移転登記のように登録免許税がかからないため、自分で手続きを行うこともできます。


当たり前ですが、棟数が増えれば手続きもそれだけ増えるので、揃える書類など事前に確認しておくと良いでしょう。



(1)自分で申請する場合



申請者は所有者が申請を行います。共有不動産の場合は、共有名義のどちらかが単独で申請することも可能です。


また、所有者がすでに亡くなっている場合は、相続人のうちの1人が単独で申請することができます。


申請方法は、登記申請書に記載をし、必要書類の添付、印紙代を購入して手続き完了という、非常にシンプルな申請方法です。



(2)土地家屋調査士に依頼する場合



費用は地域によってバラつきがありますが、50,000円〜90,000円程度が相場になります。


上記の費用の内訳は、必要書類の取得、調査、書類の作成にかかるコストと考えて良いでしょう。



3.建物滅失証明書を紛失した場合



では、解体業者に発行してもらった建物滅失証明書を紛失した場合、代替方法はあるのでしょうか。


この場合、上申書を添付することで登記手続きができますが、建物の情報や建物が存在しない事実などを記述の上、実印を押印し、印鑑証明書を最後に添付しなければいけません。


細かな記載が必要になるため、建物滅失証明書を紛失した場合は、手続き自体を土地家屋調査士に依頼することでスムーズに手続きできるでしょう。



建物滅失登記手続きを自分で行う際の必要書類



2章でも少し触れたように、建物滅失登記手続には必要書類を添付しなければいけません。

具体的に何が必要で、どこで書類を用意することができるのかを1つ1つ解説していきます。




・建物滅失登記申請書




登記申請書は法務局の公式サイトにて事前にダウンロードもできる仕様になっています。

法務局にも書式の用意はありますが、書式自体は法務局で用意されているものもダウンロードでの書式も同じものになります。


事前にこの書式が用意できても、記入のできる内容は解体工事後になるため、早まって記載をしないよう注意しましょう。



・建物の地図



地図の素材元の指定はされていませんが、適している地図はgoogleマップや住宅地図が良いとされています。


登記官が申請のある建物を現地調査目的で活用するため、地図上が常に新しく更新されているgpooleマップは確実でしょう。


住宅地図を利用するのであれば、図書館などに置いてある最新版を添付しましょう。


・現地画像




現地画像は必ず必要となる添付書類ではありませんが、現地が解体して建物がない旨を証明する際に画像は有効な方法といえます。


遠方などの理由で用意できなくても問題ありません。



・建物滅失証明書



建物滅失証明書は解体業者に記載してもらう書類になります。


建物の概要から取壊し日、所有者の氏名と住所、最後に解体業者が取壊したことを証明するための署名と実印を押印し添付します。



・解体業者の印鑑証明



建物滅失証明書の解体業者の押印欄は実印になるため、実印を照合できる印鑑証明書を解体業者に用意してもらいます。


業者側に任せてしまうといざ必要になる際に書類が間に合わないことも考えられるため、早めに用意してもらうよう伝えておきましょう。



・代理人委任状(本人以外の申請の場合)



所有者本人や相続人が直接申請に来れない場合は、代理人での申請も可能です。この場合は親族以外の土地家屋調査士によっての申請も委任状が必要になります。






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4.建物の所有者が亡くなっている場合



建物所有者が亡くなっている場合は、相続人が建物滅失登記の申請手続きをします。


相続に関しての遺産分割協議書や、相続人の承諾書などは手続きには不要ですが、解体し建物滅失登記をする旨は予め共同相続人に承諾を得ておくべきでしょう。


では建物所有者が亡くなっている際の必要書類を紹介します。



・故人の戸籍謄本か除籍謄本



故人の戸籍に配偶者や子供が入っていれば戸籍謄本を用意し、単独の戸籍であれば除籍謄本を用意します。


戸籍謄本や除籍謄本の提出は、故人が亡くなっていることの証明として使用します。




・申請する方の戸籍謄本



所有者が亡くなっている場合の申請者は相続人になりますが、相続人であることの証明が必要となり、確認できる書類として申請者の戸籍謄本が求められます。


故人の戸籍謄本や除籍謄本に、申請者の名前が記載している場合は改めて用意する必要はありません。





・故人の住民票の除票か戸籍の附票



故人が居住していたことを示す書類に住民票の除票か戸籍の附票を添付します。

故人本人を確認するために戸籍謄本に合わせて、上記2つのどちらかの書類で照合します。



5.建物滅失登記をしなかった場合のペナルティ



現存の建物が無いにも関わらず、建物滅失登記を怠ると、登記上では建物がある状態で様々な手続きが進みます。

では、建物滅失登記をしなかったことで生じるペナルティや不具合を一部紹介しましょう。



(1)罰則にあたる可能性



建物滅失登記は申請期日が決められており、建物滅失後1ヶ月以内と法律で定められています。


期日内に登記を済まさなければすぐに罰則とはなりませんが、解体後は速やかに登記手続きを進めましょう。


罰則規定は、10万円以下の過料に科せられることがあるため、期日内に登記申請することをおすすめします。



(2)売却がスムーズにできない



土地として売却したり、有効活用したいという考えの方は多いようですが、登記簿上建物が残っていると、土地の売却もできず、建物も建てることはできません。


解体後に売却や新たに建築する場合は、やはり建物滅失登記をしない限り先に進めません。




(3)固定資産税と都市計画税がかかる




冒頭でも触れていますが、不動産を所有していると必ず課税しなければいけない税金が、固定資産税と都市計画税になります。


登記の閉鎖をしなければ、評価額が算定され続けます。


しかし、更地にすることで、特例措置の対象から除外される可能性もあるため、課税額が増額になる場合も心得ておきましょう。




6.抵当権付きの建物は滅失登記できるのか




抵当権とは、建物を担保として金融機関と住宅ローン契約を締結することで、ローンを完済すると抵当権が抹消されます。


では6章の表題にもあるように、抵当権が抹消されていない状態で建物滅失登記はできるのでしょうか。


結論から先に答えると、抵当権付きでも建物滅失登記はできます。


建物滅失登記自体は建物がなければ手続き上問題はありませんが、その前の段階である解体作業を抵当権の設定をしている金融機関に確認を取らず進めてしまうと、後々のトラブルに成り兼ねません。


ベストな方法は、建物解体前に金融機関と話し合いをし進めていくことであり、間違っても勝手に解体し事後報告は避けるべきでしょう。


7.まとめ



不動産売買時の登記申請のように登録免許税の必要がなく、比較的スムーズに自分で手続きのできる建物滅失登記ですが、まずは



建物解体後1ヶ月以内に登記申請することが必要です。




登記の申請は自分で行うほか、所有者が亡くなっている場合などは土地家屋調査士に依頼することで、イレギュラーなケースでも迅速に対応してもらえます。


土地家屋調査士の費用は地域性にもよりますが、50,000円〜90,000円の間と考えて良いでしょう。


また、相続においての建物滅失登記は、相続人が原則行います。相続人以外の親族が代理で申請する場合は代理人委任状を添付しましょう。


どうしても忘れがちになる建物滅失登記ですが、ペナルティを受ける場合もあるため、家屋を解体した際は忘れず手続きを行うことが大切です。





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